「東京都土木技術支援センター」の仕事
都・区市町村の現場の技術支援・調査・開発を手がけ、
大都市東京の土木行政を支え続ける
東京都土木技術支援センターを紹介します。
令和4年(2022)に100周年を迎えた東京都土木技術支援センターは道路舗装の試験・研究を目的として大正11年(1922)4月に東京市道路局試験所として発足。令和7年(2025)、公益財団法人 東京都道路整備保全公社の一員として新たなスタートを切りました。発足のきっかけとなった道路舗装やその材料の試験・研究に始まり、近年は低騒音舗装や遮熱性舗装の開発、東京の地質構造や地下水の調査、東京都公共基準点の整備・管理など、東京のインフラに関する諸問題の解決や事業推進に向けた現場の技術支援、調査・開発、情報の発信を行っています。
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技術情報・支援係
技術支援と調査・開発の総合調整、道路橋床版の耐久性検証、アーカイブ資料の蓄積
地下水・基準点係
地盤の変動状況を把握する水準測量の実施地下水位に関する調査「1級基準点」と「1級水準基標」の維持管理
地盤・地質係
地盤・地質の情報の蓄積、提供、発信、問い合わせに対応
道路環境係
環境保全に貢献する道路舗装の調査・開発
3階のアーカイブ展示室
2階に設置された蔵前橋の写真
江東地区の地盤沈下の推移
1960年頃に撮影された航空写真
技術情報・支援係
土木に関する技術支援、戸田橋実験場での試験、歴史ある土木関係資料の蓄積
技術情報・支援係では、技術支援、調査開発の総合調整、道路橋床版の耐久性検証、アーカイブ資料の蓄積を行っています。
技術支援では、建設局をはじめ、東京都の各局や区市町村からの土木に関する技術的なご相談ごとの依頼を受けています。他の係とチームを組んで相談ごとについてお話を伺い、原因推測や解決方法を一緒に考えるようにしています。現地に行かなければわからないことも多く、相談者とともに現地調査を行うこともあります。
板橋区にある戸田橋実験場は、フィールドを使った実験や試験施工などに使用しています。また、この実験場には大型車両の荷重を模して繰り返し荷重を与えることができるようになっている輪荷重走行疲労試験機があります。道路橋床版の補修・補強の方法や使用する材料を変えて実験することにより、床版の耐久性について評価することも行っています。
センターの3階にあるアーカイブ展示室では、東京都の建設局が所蔵する、明治・大正・昭和から続く道路・河川・公園などの整備記録や写真・図面・映像などの貴重な技術資料を活用し展示しています。これらの貴重なアーカイブ資料は、「土木の日」や夏休み期間などに一般公開したり、東京都建設局が主催する「東京橋と土木展」などで展示したりして都民の皆さんに公開しています。
一般公開日などについては、ホームページで確認できます。
また、「土木技術講習会」では、外部講師を招いて最新の技術情報などをご講演いただいています。建設局主催から引き継ぎまして、令和7年(2025)で51回目を数える歴史のある講習会です。都民の皆さんもご聴講できます。
各種イベント案内チラシ
地下水・基準点係
身近な道路や公園、スマホアプリ地図の基になる
東京の地盤沈下は大正12年(1923)の関東大震災後に下町の低地(江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区、足立区などのゼロメートル地帯)で指摘され始めました。その要因は地下水・天然ガスの過剰な採取によって地下水位が低下したことにあります。地盤沈下は、建物の傾きや道路・堤防等の沈下を生じさせることから、地震時の建物倒壊や大雨時の浸水被害を受けやすくなるなど、様々な被害を引き起こします。
現在、東京都では、地盤沈下対策として昭和40年(1965)代から地下水の汲み上げを制限する揚水規制を実施したことにより、地盤沈下は落ち着いています。
地下水・基準点係では、国土地理院などと協力して、都内の地盤の変動状況を把握するための水準測量を毎年実施しているほか、地盤沈下の主要因である地下水位に関する調査を行うとともに、都内に設置している「1級基準点」と「1級水準基標」の維持管理をしています。
測量は、昔からすべての作業を人の力だけで行っていたため、人員や時間が多く必要でした。近年では、人工衛星や電子基準点などを活用した測量も行われています。日常生活に欠くことのできない道路や公園、公共施設、ダムなどの構造物の建設に、都民の皆さんが住んでいる土地の形状、面積・境界線、天気予報図、登山用地図、カーナビゲーションシステム、スマートフォンの地図アプリなども全て測量の成果に基づいて作成されています。
また都総務局総合防災部への技術支援として、昭和63年(1988)から隔年で三宅島の地盤変動の状況を調査しています。この結果は火山噴火予知の重要な資料として活用されています。
一見地味に見える測量の仕事は、昔ながらの人力に支えられた測量から、技術革新によってダイナミックな測量へと進化しています。
1級水準測量の実施状況
基準点って?
基準点とは、地球上の正確な平面位置を定めるための基準となる点です。水準基標とは水準測量に用いる高さ(標高)を定めるための基準となる点です。基準点のうち、国土交通省国土地理院が設置したものを「三角点」、東京都などの地方公共団体が設置したものを「公共基準点」といい、東京都が整備している「1級基準点」を「東京都公共基準点」と呼びます。
道路環境係
社会要請に応える舗装を調査・開発する
道路の舗装は目立つ存在ではありませんが、私たちの毎日の生活に欠かせない大切な社会基盤です。人の移動や物資の輸送に必要な交通の安全性、快適性を確保し、良好な沿道環境を創出することで、舗装は首都東京を支えています。
道路環境係では、高度化・多様化する社会要請に対応するため、様々な機能を持つ舗装について調査・開発を行っています。具体的には、道路工事で発生するCO₂を抑える「低炭素(中温化)アスファルト混合物の実用化」や、ヒートアイランド対策の一つとして遮熱性舗装など「路面温度上昇抑制舗装の追跡調査に取り組んでいます。
● 低炭素(中温化)アスファルト混合物の実用化に関する取り組み
一般的な道路舗装には、砕石や砂などの加熱した骨材とアスファルトを混ぜたアスファルト混合物が使われています。低炭素(中温化)アスファルト混合物は、製造時にアスファルトへ水を加え発泡させることで、通常よりも10~30℃低い温度で製造できる技術です。
当係では、この技術に着目し、都道での実用化に向けた検討を進めてきました。その結果、実際の道路工事において低炭素(中温化)アスファルト混合物の使用を開始しています。製造時のCO₂排出量を抑えられることから、環境に配慮した舗装として期待されています。
● 路面温度上昇抑制舗装の追跡調査に関する取り組み
都市部で問題となっているヒートアイランド現象への対策として、遮熱性舗装等の路面温度上昇抑制舗装の検討を行っています。遮熱性舗装は、路面温度を上昇させる原因である太陽光を反射する遮熱材を、舗装表面に塗布した舗装です。路面温度を最大で約8℃程度低減できる効果があり、実際の都道で使用されています。一般的な黒色の舗装に比べ、明るいグレー色をしているのが特徴です。当係では、施工から年数の経った遮熱性舗装等を対象に、温度低減効果の追跡調査を行っています。
これらの調査・開発を通じて、都市や地域にとって最も身近な社会資本である道路の安全性や快適性を高めるとともに、環境負荷の低減を図っています。
今後も、社会要請に応じた舗装技術の検討を進め、安全で環境にやさしい道路づくりに取り組んでいきます。
低炭素(中温化)アスファルトの発泡イメージ
遮熱性舗装体感装置
地盤・地質係
地盤情報を建設・防災・環境行政へ役立てる
地盤の性質は、建築や土木工事において非常に重要な役割を果たします。例えば、建物や構造物を支える地盤の支持力が不足すれば沈下や傾斜が発生します。事前に地盤調査を行い適切な設計や施工が必要となります。
令和6年(2024)1月1日に発生した能登半島地震では、液状化現象による被害などをテレビ等でご覧になった方も多いと思います。地盤の性質は構造物の安全性や災害リスクに直結する重要なファクターとなりますが、個人がそのリスクを把握することは困難です。
そこで、入手した地盤・地質情報を地盤情報システムに蓄積し、この情報を活用して液状化の発生リスクをWebサイト「東京の液状化予測図」で公開しています。能登半島地震以降、関心が高まり、年間約21万件のアクセスがあります。このサイトで自分の住んでいる場所がどれくらいのリスクがあるのかを知ることで、調査や対策の必要があるのかを検討する材料になると思います。それが都民の皆さんの防災意識を高めていくことにつながっていくのではないかと考えています。Webサイト「東京の地盤(GIS版)」も約15万件を超えるアクセス数があり、都民の皆さんだけでなく、不動産や設計会社等、多くの事業者の方々にもご活用いただいています。 私たち地盤・地質係は現在、2次元情報の「東京の地盤(GIS版)」を3次元化し、簡単なマウス操作で地下の地層の詳細を確認できるように、令和8年(2026)の公開を目指しています。
東京の地盤(WebGL版)
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