新緑がまぶしい季節がやってきました。都内でも自然を楽しめるランニング・ウォーキングコースがたくさんあります。 今回は、多摩川周辺を散策していきましょう。トータルで約6㎞。古代ロマンも感じられるスケールの大きなコースです。
スタートは二子玉川駅。西口を出て左に進めば、すぐに多摩川です。東急線のガードをくぐって、多摩川の河川敷を下流に進みます。都心にいながら、空が広く見える川沿いは本当に気持ちがいい。犬の散歩、ランニングを楽しむ方など、多摩川の自然を皆さん満喫していました。タワマン群が見えるのも東京ならではの景色といえそうです。
途中で二子玉川公園に寄ってもいいでしょう。2013年開園のスタイリッシュな公園で、人気コーヒーチェーン店も隣接しています。多摩川沿いを1.5㎞ほど進んだら、玉川野毛町公園に向かいます。その間には2つの急坂があるので、頑張って上りましょう。
野球場、テニスコート、屋外プールなどがある玉川野毛町公園ですが、注目は五世紀初頭に築造されたといわれる野毛大塚古墳です。全長82m、後円部直径67m、高さ11m。円墳に小さな前方部が付いた帆立貝式古墳としては国内でも有数の規模を誇ります。階段が設置されていて、古墳の上部から公園を見下ろすこともできるんです。豪族の気分を感じられるかも。
古墳の次は1㎞ほど続く等々力渓谷です。ただし、現在は危険木の伐採・剪定などの作業中で、遊歩道は通行できません。残念ですが、少し迂回して、日本庭園と不動の滝をめぐりました。緑あふれる空間は心が癒されますね。
等々力不動尊を参拝した後は、環八通りをしばらく進みます。玉川浄水場の前を左折すると、まもなくゴールの九品仏浄真寺です。1678年創建で東京都天然記念物の大イチョウが有名ですが、仏像が素晴らしい。入口近くに閻魔大王、本尊は釈迦如来。奥には名前の由来となっている九躰の阿弥陀佛が鎮座しています。同じように見えますが、手のかたちが異なるので、注視してくださいね。疲れが一瞬で吹っ飛ぶほど壮観ですよ。
最寄り駅は九品仏ですが、自由が丘まで足を延ばせば、魅惑のスイーツやグルメもたくさんあります。ちなみに僕は美味しいカレーライスを食べて、フィニッシュしました!
二子玉川駅
東京とは思えないほど開放的な空間が広がっている多摩川河川敷
玉川野毛町公園に向かう途中の急坂
国内有数の規模を誇る玉川野毛町公園の野毛大塚古墳(東京都指定史跡)
等々力渓谷の竹林
等々力渓谷公園は昭和49年(1974)に斜面の一部を風致公園として開園。園内にある東京23区内で唯一の渓谷は、東京都指定名勝となっています。日本庭園は、昭和の造園家・飯田十基(じゅうき)によるものです。
不動の滝
※日本庭園・書院の開園時間/9時~17時(3月~10月)、9時~16時30分(11月 ~2月)、休園日/年末年始(12月29日~1月3日)
九躰(九品)の阿弥陀佛を安置していることから「九品仏」として知られています。
ゴールは、延宝6年(1678)創建の九品仏浄真寺。正式名称は「九品山 唯在念佛院 淨眞寺(浄真寺)」。数多くの災害や戦火を逃れ、創建当時の姿を残しています。
酒井政人(さかい・まさと)
スポーツライター。1977年、愛知県生まれ。東京農業大学1年時に箱根駅伝10区出場。その経験を生かして、現在は『Number WEB』『PRESIDENT Online』など様々なメディアに執筆中。またランニングクラブも主催している。著書に『箱根駅伝は誰のものか』(平凡社新書)、『ナイキシューズ革命 “厚底”が世界にかけた魔法』(ポプラ社)など。