高田馬場から落合エリアを楽しむ!
東京23区のほぼ中央に位置する新宿区には
見どころがたくさんあります。
今回はアトムの街として知られる高田馬場から
染め物の里として知られる神田川・妙正寺川が流れる
落合までのエリアを散策します。
高田馬場の地名は三代将軍徳川家光が
高台に馬場を築いたことに由来するなど諸説があります。
落合の地名はこの一帯を流れる神田川と妙正寺川が落ち合ったことに由来するそうです。
撮影協力/新宿区、新宿下落合氷川神社、薬王院(東長谷寺)、せせらぎの里公苑(東京都下水道局)
案内人/新宿区 総合政策部 区政情報課 広報係・櫻場竜也さん、谷島遙さん
①高田馬場駅高架下の鉄腕アトムの壁画
地域の環境美化活動で誕生した壁画が高架下のイメージを払拭
JR山手線と西武新宿線の高田馬場駅早稲田口を出てすぐの高架下に、漫画家・手塚治虫が生んだ数々のキャラクターがいきいきと描かれた大きな壁があります。高架下の「暗く汚い」というイメージを払拭するため、地域住民や商店街の人々によって地区協議会地域会議が発足し、環境美化についての検討が行われました。その後JR、西武鉄道、手塚プロダクションに協力を依頼し、2種類の壁画が誕生。かつての高架下は、地元の人たちの尽力で一変しました。鉄腕アトムは2003年4月7日の誕生日に新宿区の「新宿未来特使」に任命されました。
JR高架下テーマは「ガラスの地球を救え」。高田馬場の未来がこうあって欲しいという願いが込められているもので、絵巻風に、朝・昼・夕・夜と人々の暮らしを展開し、同時に春・夏・秋・冬の風物を織り込んでいます。
西武線の高架下「歴史と文化~過去から現在そして未来へ」がこの壁画のテーマ。「堀部安兵衛の仇討ち」や「手塚治虫の執筆風景」、「あらゆる世代の人々が手を取って歩む姿」など過去から現在そして未来へかけた様々な街並みのイラストで構成されています。
染めのまち・落合
新宿区の染色業は、神田川・妙正寺川の流域で地場産業として受け継がれてきました。大正時代中頃に、神田川の清流を求めて染色業者が神田川上流に工場を新設して集まり、工場から独立した職人が早稲田・戸塚、高田馬場、落合周辺に工房を作ったことが新宿区の染色業の始まりです。落合一帯を流れる妙正寺川と神田川沿いには、昭和30年代まで300軒を超す染色関連業が集まっており、京都・金沢と並ぶ三大産地でした。今も落合界隈には染色に関わる工房があり、その技と歴史を綿々と伝えています。
②新宿下落合氷川神社
新宿区下落合2-7-12
ひと足早い春を告げるピンクの河津桜が咲き誇ります
落合の郷に鎮座し、神田川の守り神として信仰されてきた下落合氷川神社。創立の詳しい時期は明らかではありませんが、約2400年前の第五代考昭天皇の御代やさらに上古、約3000年前の関東地方に稲作文化が広まった頃がその起源だともいわれています。八岐大蛇(やまたのおろち)伝説に登場する勇ましい神様・素戔嗚命(すさのおのみこと)、その妃神で家内安全の神様・奇稲田姫命(くしなだひめのみこと)、大国主神(おおくにぬしのみこと)とも呼ばれ親しまれる商売繁盛の神様・大己貴命(おおなむちのみこと)の三柱の神様が祀られています。参拝は24時間可能です。
南鳥居
拝殿
毎年2月3日に拝殿で行われる氷川神社の節分祭は、新宿地域文化財に指定されています。
狛犬
溶岩石の上に安置されている狛犬は江戸時代のもの。吽形は獅子の子落としの情景となっているようです。猛々しく美しい造型美は狛犬ファンに人気です!
2月中旬から3月上旬にかけて境内の河津桜が見頃になります。タイミングが良ければ梅と河津桜を同時に楽しむことができるかもしれません。河津桜の開花時期には「さくら詣御朱印」も受けられます。
③薬王院(東長谷寺)
新宿区下落合4-8-2
別名、牡丹寺といわれボタンの名所として知られる人気のスポット
ボタンの名所として知られる薬王院は、鎌倉時代に願行上人によって創建されたと伝わる真言宗豊山派の寺院です。総本山の奈良長谷寺から移植されたボタン100株が今では約40種、800株にまで増え、見頃を迎える4月中旬から下旬にかけては、都心とは思えない美しい光景を見せてくれます。手入れの行き届いた境内には、ツツジやシャクナゲ、小さな池にはスイレンの花も咲きます。3月からはソメイヨシノ、シダレザクラ、ツバキなどが見頃となり、心落ち着くおすすめのスポットです。牡丹寺として知られる薬王院は新宿区の「みどりの新宿30選」に選定されています。
山門
懸造(かけづくり)という急な斜面に張り出して建てられた本堂は迫力があります
石段の踊り場に安置された六体地蔵
本堂へ続く石段の脇には開花前のボタンの株が植えられています
④新宿区立下落合野鳥の森公園
新宿区下落合4-8
鳥たちの囀(さえず)りが響き渡る新宿のオアシス
薬王院に隣接する広さ約1500㎡の小さな公園です。深い木立の中にあり、都会とは思えないワイルドな緑の空間は、森の中にいるような雰囲気を味わえます。その名のとおりスズメやキジバトはもちろん、ウグイス、ツグミ、シジュウカラ、メジロ、ヒヨドリなど季節の野鳥が訪れ、囀りが一帯に響きます。近代化が進む新宿にあって、昔の風景が残り心が和む趣のある公園です。四季折々に表情を変える木々がある都会のオアシスです。
年中無休 ※詳しくは、ホームページをご確認ください。
⑤下落合弁財天と下落合横穴墓群跡
新宿区下落合4-3
住宅地にひっそり佇む弁天様は地域を見守っているようです
弁財天の創建年代は不詳です。昭和3年(1928)に御大典記念として奉納された鳥居は現在はありませんが、短い参道を進むと小さな祠があり、木造の弁財天像が祀られています。
祠を囲む小さな池には浮草や鯉が泳いでいます。
下落合横穴墓群跡
下落合弁財天の裏手一帯には、昭和41年(1966)の宅地造成中に発見された8世紀(奈良時代)のものと推定される下落合横穴墓群の跡がありました。出土品のうち人骨二体と直刀(刀身79cm)は、新宿区登録有形文化財に登録され、現在は新宿歴史博物館に保管され、直刀は常設展示室に展示されています。
⑥新宿区立おとめ山公園
新宿区下落合2-10
立ち入り禁止の将軍家の狩場から人々の憩いの場へ
おとめ山公園一帯は江戸時代の将軍家の狩猟地で立ち入り禁止の意味から「御留山・御禁止山」と呼ばれたそうです。大正時代に公園の西側に相馬家が屋敷を作り、日本初の公園デザイナー・長岡安平が回遊式庭園を築きました。のちに売却されましたが、地元の人たちの「落合の秘境」を守りたいという熱意によって、昭和44年(1969)にその一部が新宿区立おとめ山公園として開園しました。湧水の流れや池、原っぱなど自然あふれる憩いの場になっています。湧水は「東京の名湧水57選」に選定されています。
利用時間/7時〜19時(4月〜9月)、7時〜17時(10月〜3月) 年中無休
入園料/無料 詳しくは、ホームページをご確認ください。
みんなの原っぱへとつながる林間デッキ
おとめ山通りを挟んで弁天池があります。
⑦新宿区立中村彝(つね)アトリエ記念館
新宿区下落合3-5-7
中村彝(つね)がこよなく愛し制作と療養の日々をおくったアトリエ
中村彝は大正期に活躍した洋画家で、大正5年(1916)、下落合にアトリエを構え、創作活動を行いました。没後に画友を中心とした中村彝画室保存会により保全され、のちに洋画家の鈴木誠が所有し保存されてきました。記念館は当時の建築部材を再利用して建築当初の姿に復元したものです。
開館時間/10時〜16時30分(入館は16時まで)
休館日/月曜日(祝休日の場合は翌平日)、年末年始
入館料/無料
住宅地の小道に配置された<彝>の文字が中村彝アトリエ記念館まで案内してくれます。
アトリエ外観
アトリエ棟にはアトリエや居間、台所、同居人の部屋などがあります。
解説映像で彝の生涯や画業を知ることができます。
天井にガラスを嵌め込み明かりを取り入れているアトリエには、彝の使用したイーゼルや家具・調度品(複製)などが展示されています。
展示室
彝の実作品は展示していませんが、代表的な作品を高精度の写真パネルで紹介しています。
⑧せせらぎの里公苑
新宿区上落合1-1
落合水再生センターの上部を有効活用し四季折々の表情を楽しませてくれる
せせらぎの里公苑は、東京都下水道局の落合水再生センターの上部を利用して造られた広さ約8000㎡の公苑です。苑内のせせらぎの周りはコナラを主体とした雑木林になっています。春はツツジ、秋には紅葉が楽しめます。夏のせせらぎの水辺は、子どもたちの水遊びの場として親しまれています。
開園時間/9時〜18時
休園日/月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
詳しくは、ホームページをご確認ください。
神田川沿いを散策しながらせせらぎの里公苑へ
下水を処理した時に発生する汚泥を資源として活用した「メトロレンガ」。歩道や公園などに使われています。
下水をろ過処理した再生水で、澄んだせせらぎを復活させています。
落合水再生センター メモ
住宅地に囲まれた水再生センターは、環境に配慮した管理を徹底。また下水道局の仕事は水をキレイにすることだけではありません。高度に処理した再生水を西新宿の新宿副都心水リサイクルセンターに送水し、ビルのトイレ洗浄用や冷暖房用の熱源などに活用し、水資源の有効利用に貢献しています。
下落合一丁目駐車場
所在地:新宿区下落合一丁目11
駐車台数: 6台
料金:
8時~20時 30分200円
20時~8時 60分100円
24時間 最大月〜金1,500円 土日祝1,200円
※最大料金繰り返し有り 荷捌き可能(荷捌き対策協力駐車場)
精算方法: 現金(10円、50円、100円、500円、千円札)
備考:長さ5.0m以内、全幅1.9m以内、地上高15cm以上の車両