せっかくランニングするなら気持ちよくて、ワクワクする場所を選びたい。今回は「スポーツの聖地」が密集する神宮外苑周辺を走りたいと思います。
スタート地点は千駄ケ谷駅前にある東京体育館。右側の階段を上がっていくと、左手に国立競技場が見えてきます。スペースが十分あるので、簡単な準備運動をしておきましょう。
東京2020オリンピック・パラリンピックのメイン会場となった国立競技場はランニングコースも完備。東京2020大会は原則、無観客開催となりましたが、外周コースを走ると〝大歓声〟が聞こえてきそうです。また炬火台などの展示物が1964年大会の歴史を感じさせてくれます。隈研吾が設計した新しいスタジアムは木材をふんだんに取り入れており、実はSDGsの最先端をかたちにした建築でもあります。
国立競技場を左回りで半周ほどして、スタジアム通りへ。神宮球場を左手に眺めながら進みます。同球場は学生野球のメッカであり、土日の昼間は大学の対抗戦をよくやっています。そして夜はヤクルトスワローズのナイトゲームです。例年、夏休み期間中は5回裏終了後に300発の花火が打ち上がります。時間にして約1分。この贅沢な時間を狙って走るのも楽しいですよ。
秩父宮ラグビー場の前を通過して、青山通りを左折。400mほど進むと左手に数々のドラマの舞台になったいちょう並木が見えてきます。約300mの間に150本ものいちょうが植えられており、季節によって様々な表情を拝むことができます。黄色に染まったトンネルが大人気ですが、5月は新緑がまぶしくて、これも美しい。
神宮外苑ランニングコースはトラックを大きくしたような楕円形のようなかたち。1周1.325㎞なので4周で約5㎞になる計算だ。1980年代には瀬古利彦が修行僧のような形相で走っていたそうです。
今回のコースは全長約3.5㎞で起伏もほとんどありません。物足りない場合は神宮外苑ランニングコースを満足いくまでどうぞ。
なお今後は神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えるなど、神宮外苑エリアは再開発されていきます。セピア色の景色が残っているうちに、特別なコースを味わってほしいな。
青山通りから延びる神宮外苑のいちょう並木。正面に見えるのが聖徳記念絵画館
ランナーの多い神宮外苑は左回りで走ろう
神宮球場では年間約500を超える多くの試合やイベントが開催されている
噴水のあるエリアは休憩場所にも最適!
神宮外苑ランニングコースのスタートとゴール地点。100m間隔で距離表示があり走った距離がわかる
酒井政人(さかい・まさと)
スポーツライター。1977年、愛知県生まれ。東京農業大学1年時に箱根駅伝10区出場。その経験を生かして、現在は『Number WEB』『PRESIDENT Online』など様々なメディアに執筆中。またランニングクラブも主催している。著書に『ナイキシューズ革命 “厚底”が世界にかけた魔法』(ポプラ社)、『箱根駅伝ノート』(KKベストセラーズ)など。