正月の箱根駅伝をテレビ観戦して、気持ちが高ぶった方は少なくないでしょう。全長217.1㎞のレースは公道で行われるため、誰もが走れるコースです。そんなわけで、今回は箱根駅伝のアンカーである10区の終盤部分。約5.4㎞を走ります! ウォーキングでも楽しいですよ。
スタートは1393年に建立された増上寺。徳川家の菩提寺としても有名ですね。重要文化財である三解脱門は歴史を感じさせる佇まいで、美しい。バックには東京タワーもバッチリ。本堂は朝6時から夕方5時半まで参拝できるので、運動前に勝運を招くという黒本尊を拝むのもいいでしょう。
日比谷通りを大手町方面に進みます。平坦な道のりが続く一方で、景色は進む度に七変化。東京の〝凄さ〟を感じることができるでしょう。両サイドにはビル群が広がり、1.5㎞ほど進むと、左手に都会のオアシス・日比谷公園です。
国道1号を渡ると、今度は日比谷濠がドーンと目に入ってきます。そして馬場先門を右折します。往路・復路で争われる箱根駅伝ですが、10区の馬場先門からゴールまでは1区とは別ルート。復路だけの特別な道になります。
東京駅を周回するように、鍛冶橋通りを進み、京橋を左折。今度は中央通りを日本橋まで進みます。明治屋、丸善書店、日本橋髙島屋など老舗が並ぶ雰囲気はなかなか素敵です。百貨店がオープンする朝10時までに通過すれば、スムーズに進むことができるでしょう。
日本橋川に架かる現在の日本橋は1911年に完成。重要文化財にも指定されています。なかでも注目は中央柱にある青銅製の麒麟像。東野圭吾原作の映画『麒麟の翼』にも登場して、認知度が上がりました。橋の両端に設置されている獅子像も見応え十分です。なお日本橋の橋の上には「日本国道路元標」があり、徳川幕府が定めた五街道の起点になります。
日本橋を渡ったら、すぐに左折。残りは1㎞もありません。仲間が待つゴールを想像しながら走れば、パワーがみなぎってくるはずです。読売新聞東京本社のゴール地点脇には「絆」のブロンズ像があります。最後は箱根駅伝のアンカーになりきって、笑顔でフィニッシュしてほしいな。
増上寺・三解脱門
スタートは浄土宗の七大本山の1つ増上寺の三解脱門前から。東日本最大級を誇るこの門は増上寺の中門にあたります!
両サイドに広がるビル群
日比谷濠
祝田橋から馬場先門までの間にあるこの濠は江戸城内濠の一部
馬場先門
1997年に昭和期の建造物として初めて国の重要文化財に指定された明治生命館がある
日本橋
老舗が並ぶエリアはのんびり歩くのもおおすすめ!
日本橋の北側の元標の広場にある日本国道路元標のレプリカ
ブロンズ像「絆」
ゴールは大手町の読売新聞東京本社。西側正面入口の右手に進むと彫刻家の松田光司さん制作のブロンズ像「絆」がある
酒井政人(さかい・まさと)
スポーツライター。1977年、愛知県生まれ。東京農業大学1年時に箱根駅伝10区出場。その経験を生かして、現在は『Number WEB』『PRESIDENT Online』など様々なメディアに執筆中。またランニングクラブも主催している。著書に『ナイキシューズ革命 “厚底”が世界にかけた魔法』(ポプラ社)、『箱根駅伝ノート』(KKベストセラーズ)など。